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千葉地方裁判所 昭和58年(わ)10号 判決 1983年3月28日

本籍

千葉県千葉市幸町一丁目八番

住居

同県同市幸町一丁目八番ガーデンタウン一棟一〇〇九号

会社役員

橋本稔子

昭和二二年一〇月一七日生所得税法違反被告事件

出席検察官

永田俊明

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円の一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五三年八月から千葉市富士見一丁目一三番一号所在の紅谷ビル二階において、「クラブ奈々」の名称で飲食業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五四年分の実際総所得金額が二八、四七七、九一二円でこれに対する所得税額が一一、四三四、七〇〇円であつたのに、右営業に係る取引及び収支を明らかにするためにその都度作成して備え付けてあつた売上伝票・日計票などの証拠類を破棄し、所得の一部を他人名義や架空名義の預金として秘匿した上、昭和五五年三月一五日の確定申告・納期限までに千葉市新宿二丁目六番一号所在の所轄千葉東税務署長に対し所得税確定申告書を提出しないなどの不正の行為により、右納期限を徒過せしめて昭和五四年分の右同額の所得税を免れ

第二  昭和五五年分の実際総所得金額が四一、七八一、二五〇円でこれに対する所得税額が一九、一四一、五〇〇円であつたのに、前同様の証憑類を破棄し、前同様の手段・方法により所得を秘匿した上、昭和五六年三月一六日の確定申告・納期限までに前記千葉東税務署長に対し所得税確定申告書を提出しないなどの不正の行為により、右納期限を徒過せしめて昭和五五年分の右同額の所得税を免れ

第三  昭和五六年分の実際総所得金額が五二、一八三、七七五円あつたのにかかわらず、収入の一部を除外し、所得の一部を他人名義や架空名義の預金にするなどして秘匿した上、昭和五七年三月一五日、前記千葉東税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四、二五四、〇〇〇円でこれに対する所得税額が五九六、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、昭和五六年分の正規の所得税額二四、六六三、二〇〇円と右申告税額との差額二四、〇六六、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書七通

一  被告人作成の上申書三通

一  中田正治の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一  森岡学の大蔵事務官に対する質問てん末書二通及び検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の現金調査書、当座預金調査書、普通預金調査書、定期積金調査書、定期預金調査書、検査てん末書(三通。但し、平和相互銀行千葉支店(二通)と、千葉興業銀行本店に関するもの。)、期末商品たな卸高調査書、臨検てん末書、貸付金調査書、バンス(貸付金)調査書、什器・備品調査書、車輛調査書、建物附属設備調査書、減価償却費調査書、店舗保証金調査書、事業主勘定調査書、買掛金調査書、未払金調査書、支払手形調査書、借入金調査書、旅行積立預り金調査書、源泉税預り金調査書、利子所得調査書、売掛金調査書、元入金調査書、売上調査書、査察官報告書、仕入調査書

判示第一の事業につき

一  大蔵事務官作成の譲渡所得調査書、脱税額計算書(但し、自昭和五四年一月一日至昭和五四年一二月三一日の分)判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の貸付金利息(雑所得)調査書、脱税額計算書(但し、自昭和五五年一月一日至昭和五五年一二月三一日の分)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の立替金調査書、脱税額計算書(但し、自昭和五六年一月一日至昭和五六年一二月三一日の分)

一  押収してあるレジ日計表二九六枚(袋入り。昭和五八年押第五七号の1)、56年分所得税確定申告書一枚(袋入り。同押号の4)

(適用法令)

判示各事実 所得税法二三八条一項(但し、判示第一及び第二の各事実については、昭和五六年法律第五四号附則第五条により、同法による改正前の所得税法二三八条一項)(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)

併合加重

懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)

罰金刑につき 刑法第四八条二項

労役場留置 刑法第一八条一項

執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑について)

(裁判官 石田恒良)

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